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   『ドリトル先生と緑のカナリア』 ドリトル先生物語全集11

小B6判 『ドリトル先生と緑のカナリア』 この画像はリンクしていません

菊判(21.8×15.2cm)・小B6判(17.2×12cm)
(イギリス)
ヒュー・ロフティング 作・さし絵
井伏 鱒二(ますじ) 訳
岩波書店
菊判 ¥1,785(¥1,700+税5%)
小B6判 岩波少年文庫 ¥798(¥760+税5%)    


「ドリトル先生物語全集」の第十一作

「ドリトル先生物語」の11冊目。物語の内容から考えた年代順では4番目です。1950年(昭和25年)発表。


『ドリトル先生と緑のカナリア』のあらすじ(冒頭部分のみ)

ドリトル先生の「サーカス団」時代のことです。

先生は、友人である猫肉屋(ペットフード配布業者)のマシュー・マグと散歩していたときに、ある動物屋で、珍しい種類のカナリアを偶然見つけました。

話を聞いてみると、そのカナリアのピピネラは、何千キロもの旅をして、さまざまな場所で、劇的な出来事を経験していることが、わかりました。

以前から、動物や小鳥の伝記を書きたいと思っていたドリトル先生は、細かい出来事を記憶しているピピネラの話を聞いて、伝記を書くことにしました。

先生がピピネラと伝記を書く相談をしている間に、先生の家族である動物たちは、議論をしていました。動物たちは、この名誉ある仕事の手伝いにピピネラが選ばれたので、憤慨したのです。

うぬぼれの強いブタのガブガブはもちろん、フクロウのトートーや犬のジップ、アヒルのガブガブまでが、次々に自分の「立派さ」を言い立てました。

しかし、白ネズミだけは、自分の生活が伝記に書かれるほど立派とは思っていなかったので、ドリトル先生に「カナリアの伝記が良いと思う」と言います。

動物たちの話を聞いていたドリトル先生は、それをきっかけに「カナリアの伝記でゆく」と宣言し、ピピネラは自分の生まれたときのことから語り始めました。

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一部と二部はピピネラの半生を詳しく語る

この巻は、三部構成になっています。一部と二部は『ドリトル先生のキャラバン』で、ざっと語られていたピピネラの半生を、もっと詳しく、臨場感のあふれる文章で描いたものです。

ですから、『ドリトル先生のキャラバン』を既に読まれた読者には、一部と二部のストーリーの概略がわかっていることになります。

でも、概略がわかっていたらこの巻がつまらない、ということはありません。

ピピネラ自身の口から、ひとつひとつのできごとに対する感情が率直に、詳しく語られるので、読者は知らず知らずのうちにピピネラに感情移入して、喜んだり、悲しんだり、ハラハラしたりすることになります。

文字通り、「かごの鳥」として生まれたはずのピピネラの半生は、波乱万丈の大冒険です。カナリアに。このようなドラマチックな人生(鳥生?)を創造した作者の才能を、強く感じます。

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三部はサーカス団の解散後のできごと

三部は、ドリトル先生のサーカス団の解散後の出来事で、これは『ドリトル先生のキャラバン』には描かれていません。この三部では、人探し、物探しの過程が描かれて、推理小説好きの読者には、特に楽しめるストーリーになっています。

この「探しもの」も、もちろんピピネラ絡みですが、ドリトル先生が中心になって行動するので、並の人間の探し方とはだいぶ趣きが異なり、動物たちからたくさんの協力が得られます。

おなじみの、良く言えば「いなせな」、悪く言えば「ちょっと柄の悪い」ロンドン・スズメのチープサイドもまた、活躍してくれるし、ドリトル先生の全集では初登場の動物も協力してくれます。

つい、「本当に動物語がしゃべれたら、便利だろうな」と思ってしまう、「ドリトル先生ならではの世界」プラス、謎に迫る「推理小説」的展開が楽しめます。

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ロフティングの義妹が完成させた物語

しかし、このドラマチックな巻は、ロフティングが一人で完成させた作品ではありません。

この巻の、ロフティング夫人による前書きには、ロフティングが完成を目前にして亡くなったので(この本の出版の3年前、1947年に死去)、彼の生前に「ピピネラ」の執筆のために、資料の準備の手助けをしていた、夫人の妹オルガ・マイクルが完成させたとあります。

ロフティングは、義妹のオルガの文才を高く評価していたそうで、確かに、この物語はロフティング自身が完成させたと思うほど、自然な展開の文章になっています。

どのあたりからオルガが執筆をしたのかは、わかりませんが、少なくとも館長には、違和感は感じられませんでした。

この巻の後半、特にラストには、前半に劣らないピピネラの冒険の締めくくりにふさわしい、劇的な展開が待っています。それは「ドリトル先生ならこうするだろう」と自然に思わせてくれるものです。

夫人の前書きがなければ、この巻はロフティングが一人で完成させたと、多くの方は思うのではないでしょうか。

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当時のイギリスの社会情勢を反映

また、この巻のピピネラの半生の出来事は、当時のイギリスの社会情勢を反映しています。

ドリトル先生が生きたとされる時代は、19世紀前半です。この頃のイギリスの労働争議や、劣悪な労働環境、社会主義運動などが、ピピネラの半生とリンクしています。

こども向けの文学ではあっても、ストーリーを追ってゆけば、自然とイギリスの歴史や当時の社会情勢に、思いが及ぶ作りです。

この辺りが、「カナリアの伝記」という珍しい設定に、真実味を与えています。

ピピネラのドラマチックな半生と共に、『ドリトル先生のキャラバン』の後日談を楽しめる巻です。

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『ドリトル先生と緑のカナリア』関連のオンライン書店のページ

菊判 (ハードカバーで堅牢な作り、大体A5判と同じ位のサイズ)

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小B6判 岩波少年文庫 (ソフトカバーで、新書判位のサイズ)

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A5判 番外編(国書刊行会)

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「ドリトル先生物語全集」関連の書籍

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映画『ドリトル先生不思議な旅』のビデオ

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『ドリトル先生不思議な旅』は、『ドリトル先生アフリカゆき』『ドリトル先生航海記』『ドリトル先生のサーカス』『ドリトル先生月へゆく』などのストーリーを交えたもので、1967年(昭和42年)の映画です。

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『ドリトル先生と緑のカナリア』関連のホームページ

「ドリトル先生物語全集」の出版社
      岩波書店児童書編集部

「ドリトル先生物語全集」の番外編 『ガブガブの本』の出版社
      国書刊行会

「ドリトル先生物語全集」関連の書籍 『ドリトル先生の英国』の出版社
      文芸春秋

この物語の舞台であるイギリスの政府公認日本語公式サイト
      UK NOWサイト
   (イギリスに関するさまざまな情報を網羅)


このページの情報は、岩波書店の目録、あとがきの「訳者のことば」、文春新書の『ドリトル先生の英国』(南條竹則 著)などによります。


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