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「シャーロック・ホームズ全集」より
   『バスカビル家の犬』

「シャーロック・ホームズ全集」より 『バスカビル家の犬』 この画像はリンクしていません

20×14cm
(イギリス)
コナン・ドイル 著
各務(かがみ) 三郎 訳
シドニー・パジェット さし絵
偕成社
¥1,260(本体価格¥1,200+税5%)


偕成社版「シャーロック・ホームズ全集」の3冊目

1901年(明治34年)、ストランド・マガジン8月号から翌年4月号まで連載、1902年(明治35年)に単行本として出版されました。連載開始時、ドイル42才。


『バスカビル家の犬』のあらすじ(冒頭部分のみ)

昨夕、ホームズとワトソンの留守中に訪れた来客の忘れ物であるステッキについて、朝の食卓で二人があれこれ推理している所へ、当の客がまた訪れました。

ステッキの持ち主であるモーティマー医師は、まず、デボン州ダートムーアのバスカビル家に伝わる、魔犬伝説について語ります。

モーティマー医師は、バスカビル家の当主だったチャールズ・バスカビル卿と親しく交際していたのですが、卿は先頃、変死して、その現場に大きな犬の足跡が残っていたと告げます。

モーティマー医師は、バスカビル家を継ぐことになったヘンリー・バスカビル卿の身辺を心配して、ホームズに相談しようと訪れたのでした。

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『最後の事件』後、8年間の沈黙を破って連載

1893年(明治26年)の12月号に掲載された『最後の事件』(この全集では『シャーロック・ホームズの思い出(下)』に収録)を潮に、ホームズものを止めていたドイルですが、友人からデボン州ダートムーアの魔犬伝説を聞き、また、実際にその地を訪れて風景が気に入って、この作品を書きました。

しかし、「ホームズもの」とは言っても、『最後の事件』からの生還ではなく、それ以前の事件という設定です。

長編の中で人気ナンバーワン、おすすめの巻

この作品は、とにかく長編の中でも、人気ナンバーワン。それだけではなく、世界的レベルのミステリーランキングでも、トップクラスとされています。館長も、長編の中ではこの作品が一番好きで、よく読み返します。

怪奇ムードたっぷりの舞台、ダートムーア

なんと言っても、舞台設定がすばらしいと思われます。ダートムーアという、荒涼とした独特の風景はそれだけでも、魅力的です。

荒れ野(偕成社版では「荒野」、新潮社版の延原謙 訳では「沼沢地」)というのは日本にはない、一種独特の、見方によっては怪奇的とも言えるような土地です。

日本の風景を当たり前とすると、木がろくにない山、というのがすでに尋常ではないのですが、だだっぴろい草地に点在する巨大な岩山や沼地は怪奇ムードたっぷりです。

その土地が、事細かに眼前に浮かぶように、ドイルの筆力で描き出されます。

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推理小説には珍しく、風景描写が効果的

一般的な推理小説では、風景描写などは二の次のことが多いのですが、この作品は、この絵画的とも言える風景描写が効果的で、魔犬伝説とも相まって、いつもの「ホームズ」ものとは、全く異なる趣きの作品です。

「グリンペンの大沼」のモデルは「グリムズパウンド沼」

事件の展開に大きく関わる「グリンペンの大沼」のモデル「グリムズパウンド沼」は、実際にはドイルが描いたほど、危険な沼ではないようですが、ドイルはモデルを基に、沼も荒野も迫力あるものとして描き、密室的な効果を作り出しています。

この舞台設定の妙と、魔犬伝説を利用したアイデア、そしてドイルの筆力と三拍子揃っているのが、ミステリーランキング上位の理由でしょう。

この風景は、NHKで放送したドラマで

また、このダートムーアの風景を見てみたいと思う方は、以前、NHKテレビで放送していた「シャーロック・ホームズの冒険」シリーズの『バスカビル家の犬』をご覧になってはいかがでしょう。

特に『バスカビル家の犬』は見ごたえのある映像

このシリーズは、イギリスのグラナダTVによる「ホームズもの」のテレビドラマ化です。最高のホームズ役者と言われたジェレミー・ブレットが、ホームズを演じています。

どの作品も、映像化に当たって、多少のストーリーの改変はあるものの、美しい映像で格調も高い仕上がりになっています。

特にこの『バスカビル家の犬』は、特異な風景や、重厚なバスカビル館など、原作のイメージを損なわない、なかなか見ごたえのあるドラマとなっています。

このグラナダTVの「ホームズ」シリーズは、時々NHKで再放送されていました。現在はDVDで販売されています。

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あとがきは、ドイル自身について

また、偕成社版のこの本のあとがきの「ホームズから逃げたかった男 コナン・ドイル」には、ドイルの詳しい年表が載っています。

ドイルのおじが描いたという、かわいい5才のドイルの絵(スケッチ)や、ホームズのモデルであるジョセフ・ベル博士の写真も掲載されています。

ドイルには画家など、芸術家の親類がたくさんいて、ドイルの父親も公務員でしたが、絵は上手だったとか、興味深い話も載っています。

グリムズパウンド沼地の写真も

作品解説のページには、グリンペン大沼のモデルになったグリムズパウンド沼地の写真が掲載されています。

表紙の絵はなぜか『ボール箱』のもの

それから、偕成社版の表紙の絵には首をひねりました。これは、ボートに乗っている人物たちが争っている図ですが、この『バスカビル家の犬』にはボートは出てきません。

この絵は、『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』の収録作品『ボール箱』のさし絵です。

発表当時の絵をせっかく使っているのですから、表紙についても配慮してくれれば、もっと良かったのではないでしょうか。シドニー・パジェットの描く「魔犬」は、なかなか迫力があるだけに、ちょっと残念です。

魔犬の絵を使うとネタバレになる恐れがあるということかも知れませんが、それならこの物語の他の絵を使って欲しかった、とファンとしては思います。

この巻に限りませんが、やはり表紙と収録作品のさし絵は一致させて欲しかったと思います。

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『バスカビル家の犬』のオンライン書店のページ

偕成社 20×14cm (A5判より縦が1cm、横が8mm小さいサイズ)

   バスカビル家の犬 シャーロック=ホームズ全集 (3)(アマゾン)

   シャーロック・ホームズ全集3 バスカビル家の犬 icon(セブンアンドワイ)

『バスカビル家の犬』の偕成社以外の本やDVDのページはこちらです。


『バスカビル家の犬』関連のホームページ

「シャーロック・ホームズ全集」の出版社
      偕成社

「シャーロック・ホームズの冒険」のDVD(ジェレミー・ブレッド主演のグラナダ放送のドラマ)の発売・販売元
      ハピネット・ピクチャーズ


「シャーロック・ホームズの冒険」のDVD(ジェレミー・ブレッド主演のグラナダ放送のドラマ)についての個人サイト(ネタバレあり、未読の方は注意を)

  シャーロック・ホームズの冒険研究所
  (当サイトよりあらすじを詳述、ドラマの写真を多数掲載)

  221b Baker Street
  (原作と比較し、ドラマについて文章にて解説。あらすじは特に詳述)


「シャーロック・ホームズ博物館」の日本語サイト
  シャーロック・ホームズ博物館

「シャーロック・ホームズ」シリーズの舞台であるイギリスの政府公認日本語公式サイト
  UK NOWサイト
  (イギリスに関するさまざまな情報を網羅)


なお、トップページに記載しているように、このサイト内に掲載している表紙画像は、すべて各出版社より、掲載の許可をいただいています。このページの表紙画像も、偕成社より許可をいただいています。

このページの情報は、偕成社、講談社、岩波書店、新潮社、東京創元社の目録や、ハヤカワ・ミステリ文庫を含む各書籍の解説などによります。


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